神書の部~書言集~








神蛇と神龍 ~書家・竹中青琥「「深見東州の書」によせて」より~
巨大作二点「神蛇」「神龍」をご覧いただきましょう。
優に畳三畳以上の紙に、それぞれ一気に書かれています。 何の迷いもあり ません。祈りを捧げ、一気に書き切ったものです。正にこれこそ、神品そのものと言えます。
あらゆる条件が整っていなければ、これ程の作品は生まれてこないでしょう。
「神蛇」の方は潤渇の出る用紙、「神龍」は鳥の子紙のよう な吸いこまない紙です。そのため、仕上がりは筆が同じでも全然ちがってきます。
この作品と私の関わりは、どんな雅印を押したらよいか、というところか ら始まりました。
この大作にふさわしい印が必要ですが、約十センチ角の印の、お手持ちはありません。
急に間に合うわけはありません。
そこで私は、雅印 を「書き印」にすることにしました。
日本画で下図を本誌に転写する方法念 紙です。四顆分の印影を拡大コピーにかけ、それを本紙に写しとりました。
気付いてみますと、四、五時間は経っていました。 頭はフラフラでした。次は、いよいよ本番朱書きという時に、地方にいらした筈の深見東州氏より、電話 が入りました。
「朱入れは私がしますから、そこまでで」ということで、その日はここで終了 内心ホッといたしました。
東州氏は、超ご多忙の方です。
数ヶ月の後、やっとその日が到来しました。
作品はあまりにも大きいので、畳の上に広げた状態で作業するしか、方法はありません。そして、一瞬たりとも油断は出来ません
失敗は許されません。 下がきの薄い鉛筆の線が見えないように、細心の注意と技術が必要なのです。こちらの方も四、五時間かかりました。
東州氏の集中力は、それはものすごいものでした。朱文印の細い線、白文 印のベタ塗りの部分。休みなく、朱の筆は動き続けました。
何事も、達人の 域に仕上げる東州氏の、大胆にして細心な精神や、繊細な気配りを改めて知りました。





恕 水鳥の羽根の筆による ~書家・竹中青琥「「深見東州の書」によせて」より~
ここでエピソードを一つ。二〇〇一年ジャパンフェスティバルという、日 英間の催しがありました。
書の方では、「日本の伝統芸術21世紀展望展」 $2014書 と茶と香が、日本と英国で開催されました。
内容は書の分野での、文化勲章受賞者四名を筆頭に、現代書家五十四名の作品、及び「平成の佐竹本三十六 歌仙」三十七幅を展示したのです。
そして展覧会終了後、大英図書館に永 久収蔵されました。
この書展のために、文字や語句を選んでるうちに、「恕」という一文字に決めました。
出来上がった作品は五種類ほど、それぞれ、まったくタイプの異 なった作品で、いずれも甲乙つけ難いものでした。
だから、どれを出品作に するかを決めかねてました。
しかし、水鳥の羽の筆と、 細筆を二本重ねて書いた、ゼウス風の作品にしました。どこにもない技法と、作風だったからです。
P6の「恕」が永久収蔵されました。これこそ、大英図書館に永久収蔵される のにふさわしい、東州氏の魂と個性が表われた作品でした。
最後になりますが、この作品集は鑑賞なさる方の、心の状態により感じ方
が変化する筈です。 鼻につく自己主張や、ちっぽけな我、そんなものが何もない、東州氏の邪無き書は、まさに神書とも言うべきものです。
折にふれて、この作品集をご覧になることをお奨めいたします。 その時々の自分の心を 写す鏡となることでしょう。
一流に登りつめた人物のみが、表現出来うる高次元の作品の数々。じっくり、 心と目で受け止めて下さい。
書画同源の部


