文法はこれだけ押さえておけばOK
典型的な例文を覚えて口からスラスラ言えるようになることを、皆さんにまず実践していただきたいが、入門の入門レベルの人が会話をする上で知っておくと役に立つ知識がいくつかあるので、以下でご紹介する。
ひとくちに英語といっても、いろいろなレベルがあるが、入門レベルでは、外国に行って英語で買い物をするとか、ホテルを予約するとか、そういう会話ができるかどうかだ。買い物でも何でも、基本のところがわかれば応用できる。その基本になるのは、中学校で習った基本構文だ。
たとえば、
S+V+O (主語+動詞+目的語)
S+V+C (主語+動詞+補語)
so~as to~構文
それからitの使い方や、不定詞の使い方など。知識として習ったから覚えられなかったかもしれないが、そういう基本構文を三百ぐらい、とにかく覚える。その基本センテンスを日本語で言って、口からサラサラと英語が出てきたら、ほんとうにちゃんと話せるようになる。
買い物だったら、
How much is this?「これはいくらですか」のように言えればよい。疑問文だったら、 howと why, what, when, where, whoなどの基本的な疑問詞の入ったセンテンスを丸暗記して覚えたら、英作文はできる。英作文ができれば、たとえ発音が悪くても話せるのだ。
三人称単数現在はsがつき、過去形はたいていedがつき、未来形はなんでも動詞の前にwillをつければいい。 mayとかmustのような助動詞の後は、必ず現在形を使っておく。
またtoのあとも原形。しかし、例外としてI am looking foward to (~を楽しみにしている)だけはtoの後にingがくる。そして of とかonとか前置詞の後は、何でも後にing形をつけたらそれで終わり。
文法、文法というけれど、初級会話の文法とはたったそれだけのことで、三人称・単数現在とかいろいろあっても、単数形を言わなかったらいいわけだ。複数にして全部sをつけたらいい。アンカウンタブル(数えられない名詞)と言って、カウンタブル(数えられる名詞)でない名詞には、water (水)とかmilk (ミルク)のように、sがいらない単語がいくつかある。
それがわからなくても、とりあえず全部sをつけておけばよい。それではおかしいといっても、アンカウンタブルでSをつけない名詞はほんのわずかなのだ。だから、少しぐらいミスがあっても平気で何でも全部sをつけて、複数形にしてどんどん話せばそれで終わりになる。
カウンタブルが多い中で、例外としてwater sheepやmilkなどは、 watersや sheepsや milksのようには言わないということがわかった時点で、「ああ、そうですか、シープにsをつけないなんて、変な人種だ。バカだ。しかしぼくもバカだ。
だから、そのままバカみたいに覚えよう」と思って、気がついた時、指摘された時に一つずつ覚えれば、その内、完璧になる。そもそも、こんな変な文法法則を作った民族が悪いのであって、日本人に罪はない。だから、間違っても気にしないことだ。
パート(品詞)別学習法(冠詞は全部theにする)
だいたい日本語には英語のような冠詞はないのだが、日本人でなくても、英語の冠詞を正しく理解するのはむずかしい。
だから学校英語でも、冠詞の正しい使い方などは詳しく教えていない。正しく教えられる先生がいないからだろう。
入門者はそんなことで悩んではいけない。冠詞は全部定冠詞にすればいいのだ。ひとつのものならa, anではなく、 theにしてしまう。
I am a boy. 「僕は少年です」という機会は少なく、ほとんどがI am the boy. 「私はその少年です」だ。
そうすると、当然間違うこともある。正しいセンテンスの丸暗記文の中の冠詞は、それが絶対に正しいと言えよう。
しかし、「これは一個の~」と言うときに、 aを使うべきか theを使うべきかというのは、長年英語をやっている人でもとてもむずかしいものだ。長年やっている人間でもむずかしいのだから、間違うのが当然だと思って、大いに間違ったらよい。
そう思わないと、言葉は出てこない。 theかな?それともaかな?と迷ったら、全部theにする。圧倒的にtheである確率の方が高いからだ。そう思っていれば、気楽に話し出せるはずだ。
What~? How〜?それで十分
会話の内容は、その場の情況でだいたい決まっている。日常会話なら「日本の印象はどうですか?」「お仕事は、何をしていらっしゃるんですか?」「最近どこかへ行かれましたか?」「お洋服、すてきですね」とかそんなところだ。
宇宙空間のかなたにある星がどうのこうのだとか、普通の日常会話でマグマの生成について話すなどということはほとんどない。
「イルカが瀬戸内海にいたね」と言いたかったら、イルカはドルフィンだから、Dolphin Setonaikai Sea was.と言ってしまう。何だかわからないけど、聞いた人は、「何かイルカと瀬戸内海のことを言ってるな」と思ってくれる。とにかく止まらないで単語を続けて言う。なんとか話を続けるのだ。
当然、持ち駒が多ければ多いほど表現に幅ができるのだが、最初は百個ぐらいでもいい。 Yes, No以外を使って答える疑問文なら、 What do you~?とか How do you~?などの言い方を覚える。
「$301Cをどう思いますか」は、 What do you think of ~?で、これはよく使う。これ日本人はよく間違えてHow do you think of~?とやるが、外人がそう指摘した時はWhat do you think of〜?のことだとわかっているのだから、気にせず、また、 How do you think of ~?と日本語風で貫こう。
次に話すときは、そうだったのかと、こっそりWhat do you think of ~?と話そう。これが外人に気おくれしない英会話である。こうして、こういったよく使う疑問文をいくつか暗唱して、そればかり使っていったらいいのだ。相手は答えるのに必死で、こちらは楽な英会話となる。
動詞ならたいていdoですむ
「うってつけ」という日本語にあたる英語に、 hit the spotというのがある。 spot をhitしてるということだ。この慣用表現を知らないなら、別の簡単な言い方を考えたらいい。「まさにうってつけだ」というのをどういうふうに言えばいいかと考えないで、「そのとおりだ」と言えばよい。
hit the spotを知らなくても、 It is right. とかGood. I agree. と言ってもいい。
考えたらわからなくなって話せなくなるが、うってつけと言えなくても、「そのとおり」 You are right. と言ってもいいわけだ。慣用表現を知っていたら、 It really hits the spot. 「まさにうってつけだね」と表現が細やかになるが、知らなくても多少表現がラフになる程度で、それでも別に間違いではない。
動詞の使い方についても、いちいち専門的に悩む必要はない。人が「する」「行「う」に相当する語にしても、 act, try, play ・・・といくらでもあるし、それぞれ対応する日本語もある。でも、全部doでいい。「~する」はdo、「~した」はdidだ。挙行するとか、施行するとか、完成するとか、いろいろなことも全部doで済んでしまう。
動詞はなんでもdoでいいのだから悩むことはない。
do didばかり使っていたら初心者のようだが、現代の英語のネイティブ(英語を母国語として話す人)の会話でも、do did (have) doneはよく使われている。映画の中でもよく話される。便利だし、とにかくよく通じるからだ。
いろいろと動詞を使い分けるのは勉強が進んでからでいい。まずdoでどんどん話すことだ。
have give get come goーこれだけでずいぶん話せる
have give.getcome.goの五つの動詞は、英語は全然ダメだという人でも知っているはずだ。実はdoのほかに、この五つの動詞をうまく使って話せば、人が聞いたら英語がペラペラだと誤解するような会話ができる。
「こっちにくる」はcomeでいい。「こっちからむこうに行く」は全部goでいい。「(アイデアが浮かんできた」というのは、 hit upon というのだが、 hit upon を知らなくても、 I got an idea. で「アイデアを得た」とか、 An idea came to me.で「アイデアが私にやって来た」と言えばいい。
「さしあげましょう」というのはどう言うの submit や provide 「提供する」などと言わなくても、こちらがなにかを相手に渡すときは、全部giveでいい。
だから、giveとgetとhaveとcomeが使えたら、かなりの会話はできる。
「お話ししま「しょう」ならhave a conversation.つまり「会話を持つ」というように言えばいい。
だから、haveとgiveとgetとcomeとgoの使い方をまず覚えてしまうことだ。 giveとget、 comeとgoは各々ワン・セットだ。
「アイデアを持っている」とか、「秘策があ「る」と言いたければI have a feeling.と言う。
「そう感じます」と置き換えて「フィーリングを持っている」と言えばよい。
そういった発想で考えたら、 haveは何かを手に持つだけではなくて心に描いた状態にも使えることになり、なんでもhaveとgetでかたづく。
それ以外は全部doなのだ。「施行する」とか、「挙行する」とか、「実行する」とかは、 put into practiceとかput into force、またimplementとかと言うけれど、それを知らなくても全部doでいい。「いったい何をやりたいのか」というときの、 What do you want to do?のように、全部doで置き換えられるのだ。
子供同士の会話と同じで、最低限度の単語で全部通じるのだ。それからだんだんと慣用表現を覚えて使えば、表現に幅が出てくるし、よりピッタリの表現になってくる。
英語らしい表現にもなってくる。単語量が増えてくると、よりニュアンスの細かい話ができる。英作文でも同じだが、会話は三百でなくても百のセンテンスでも十分できる。
そういう言い回しを使って会話の場数を踏んでいったら、会話の技術は上達する。
英会話とは実際はそういうものなのだが、ホントウにそんなに簡単だと言ってしまうと、英会話学校は儲からなくなってしまうので、そうは言わないわけだ。
英会話学校は、もっともらしく宣伝をして、授業料をもらうために教材を設定している。
簡単に言えば、それだけのことなのだ。だがとにかく、ポイントは丸暗記だ。そし主語述語や時制を場合に応じて変えていく。
疑問文だったら疑問文の受け答えを覚える。このようにすれば、本当に中学英語と入試の英作文のレベルで十分話せてしまえるわけだ。
例外を覚えよう
英語のむずかしさのひとつに、文法上の例外がとても多いということがあげられる。だいたい現代語は、どの国の言葉も例外が多いのだが、英語は特にそうだ。
日本では外国語というとまず英語だから、あまり気にはされていないが、英語というのはそういう言葉なのだ。他のヨーロッパの言葉よりずっと例外だらけだから、例外だけせっせと覚えると、試験に合格するためにも会話にも役立つ。
先に、入門として名詞を言うときには全部複数にするようにと述べた。たとえばペットについて聞かれたら、I like dogs. I like rabbits.
「私は犬が好きです」「私はウサギが好きです」
本当はI like a rabbit. His name is Peter. 「私はうさぎが好きです。ピーターという名前です」かもしれないが、複数にしてしまえば冠詞で悩まなくてもいい。
実際のところ、 I like a rabbit と I like the rabbit.では全然意味が違ってくるのだが、こういうふうに迷った時は、 rabbitsにするとどちらでもよくなるのだ。それ以上のことはレベルアップしてから勉強するといい。
ところで、複数でもsをつけられないものがある。前述したように代表的なのは sheep (羊)で、単数でも複数でもsheepとなり、 sがつかない。別にsheepsと言っても日本人が間違えたと思われるだけなのだが、そういった例外はある。
それから、 to+動詞原形というのは、とても使いやすい言い方だ。
I like to play tennis. 「私はテニスが好きです」
I like to watch TV 「私はテレビを見るのが好きです」
これも前述したことだが、ひとつだけよく使われる例外がある。
I look forward to reading your next book.
「君の次の本を読むのを楽しみにしているよ」
look forward to…「…を希望する」「~を楽しみにしている」は実によく使われる表現だが、この場合だけtoの後に動詞原形でなく動名詞である~ingや名詞がくる。
こういったものはしっかりと覚えておくべきだ。そうすると他の場合は、「to+動詞原形」を迷わず使える。
英語はこれに限らず、まだまだ例外は多い。その点を念頭において、第4章で紹介している基本構文をしっかり覚えて、それをどんどん口に出していただきたいと思う。
【実践編】重要ポイント③
●文法的にあやしい表現をしよう
●冠詞はすべてtheに
●単数形と複数形がわからなかったら、全部複数形でいい
●知っているやさしい動詞にドンドン置き換えよう
ヒアリングのコツーわからないときは聞く
英語の聞き取りを始めた入門者は、最初のうちは、「言っていることが全部聞き取れた!」という感動がくるまで、少し時間がかかる。だから、早口で普通に言っていることがばっとわかった、聞き取れた、つながって意味がばっと取れたという感動を味わうレベルになるのを、ひとつの目標にして聞いたらいい。
リエゾン(連結発音)とリダクション(強勢や母音の弱化)がどうつながってどうなるのか、ということは、ある沸騰点まで達したらパッとわかる。
そういうものなのだということを考えて、わからない、聞き取れない、と絶対に思わないこと。そのうちわかるし、絶対わかる、あんなバカな奴でも英語が聞き取れるのだ、おれにできないことはない・・・・・・と思うことだ。
ところで、ヒアリングは、一般的に言って受験生泣かせだ。一橋大学などでは昔から入試にあって、英文を聞かされる。それを書き取ったり、英文で言われる質問に英文で答える。最近では東大でもそうだし、高校入試でも取り入れるところが増えてきた。
でも日常会話でなら、ヒアリングは、入試のときよりもずっと簡単だ。なぜなら、わからないときは聞き返すことができるからだ。プライドが高くて聞き返すのは恥ずかしいと言う人が多いが、入門者がぎこちなくて、どこがおかしいかである。相手が言っていることがよくわからないときは、仕事の場合、
I beg your pardon?「もう一度言っていただけますか」でいい。
この発音は「アイ・ベーギョー・パードン」と、カタカナ通りに臭く言ってみよう。よく通じるはずである。つまり、こう聞き返せばそれで終わりなのだ。
相手は絶対にばかにしたりはしない。むしろその反対だ。「この人は自分の言っていることを熱心に聞こうとしてくれている!」と感心して、噛んでくだくようにゆっくりと、もっとやさしい単語を使って言い換えてもくれる。
そうやって聞き返すことで、お互いの関係は親密さを増すことにもなるし、仕事の関係ならずっとうまく運ぶ。
相手の言っていることがよくわからないのに、キチンと聞き返さないのは、相手に失礼なことだと思ったほうがいい。ヒアリング、恐るるに足らずである。
リエゾン、リダクションは聞いて覚えよう
そうは言っても、ヒアリングは奥が深くてむずかしい。日本では周囲がすべて日本語だから、少し慣れても、すぐに元に戻るからだ。だから、それ以上に何度も何度も聞いて、慣れて上達するしかない。それは「入門の入門」レベルのみなさんでも、私のレベルでも、もっと上のレベルでも同じことだ。
英語の発音には、リエゾン(連結発音)とリダクション(強勢や母音の弱化)がある。単語と単語の間の音を縮めたり省略したりすることだが、とくにアメリカ英語では多い。こういうのは聞いて慣れるしかない。
An American.これを、アンアメリカンと言ってくれればいいが、アメリカンと言う。穴がめり込む、と言っているように聞こえる。
get into ゲットイントゥーが、ゲディントゥーになる。ゲディントゥーって何だ。下痢痛?お腹が痛いのかなと思ってしまう。会話では、音がゲディントゥーとか、ゲラウト(get out)のように、つながってしまう、これがリエゾンだ。
リダクションというのは、音が落ちてしまうことだ。メリケン粉、メリケン波止場のメリケンはアメリカンのことだ。
アメリカンのアが落ちてメリケンと聞こえるから、メリケン波止場なのだ。落ちたり、つながったり、早口になったときにひとつの単語のように聞こえるのだが、そういうのはなかなか私もよくわからない。特にスラングやジョークの落ちのところでこれが来たら、全くわからない。
「正式に、ゆっくりジョークを言え、スラングなんか言うな、正式にまともないい英語を話せ」と言いたくなるが、日本人でも、早口の大阪弁でコテコテの関西ギャグを、東北県人に話す芸能人がいるので、まあ、しかたないか。だから、それはずっと果てしなく勉強してゆくしかない。
実際のヒアリングでは、リエゾンやリダクションが一個や二個どころか、かなりたくさん入ってくるから、慣れて法則がだいたい頭に入るまで、完全に理解するの
はなかなかむずかしい。しかし、そんなのは対面の普通の会話では関係ない。
Would you speak slowly?「ゆっくり言っていただけますか」
それでも解らなければ、
Would you speak a little more slowly?
「もうちょっとゆっくり言っていただけますか」
そして、またI beg your pardon?「もう一度言っていただけますか」と言って、自分が解る速度になるようにたのんで、ゆっくり話してもらえばいい。
ゆっくりだと、聞いてわかるから、ビジネスや会話に必要な英語に関しては問題ない。そして、自分の得意なセンテンスに引き込んで話し続けたらいいわけだ。
このように思っておかないと、どこまで聞いたら会話ができるようになるかわからないし、なかなか聞き取れずに苦しむことになる。
そうではなくて、聞き取れるようにしてほしいと相手に言えばいいのだ。あとは場数を踏むこと。外国人との会話を重ねて場数を踏んでいくしかない。
会話ができてくると自信がわいてきて、余裕がもてるようになる。そこからだんだん表現の幅が出てきたり、 waterやsheepやmilkには sがいらないんだなとか、これはaを使うのがいいのだなとか、こういう慣用表現があるんだなとわかってきて、もっと英語らしい会話ができるようになっていく。
しかし、それはあくまで場数の中の体験から、少しずつ改善されればいいことで、最初から本や机の上で勉強し、いきなり完全な会話をしようと思っても、全く無理なことである。英会話は、頭より体で覚えるものだと思っていただきたい。
LとRの発音に気をつけよう
英語を音読するときには、LとRの発音に気をつけよう。
それ以外のときでもそうだ。LとRの発音とアとエの間の国の母音をきれいに発音すると、だいたい英語らしく聞こえる。とととは、イギリス人とアメリカ人とオーストラリア人、カナダ人ニュージーランド人、ましてやインド人やシンガポール人などではまちまちで、発音はバラバラだ。これも前述したことの繰り返しになるが、中学時代、トマトはトメイト、トメイトと何度も発音を正され、高校入試でも、大学入試でも発音問題の頻出単語だった。
しかし、オーストラリアやイギリスに行くと皆「トマート」「トマート」、「トマト」と発音している。「トメイト」と発音すると「トマト」と直される。 oftenも「オフン」「オフン」と入試の頻出発音問題だったが、オーストラリアやイギリスでは皆、平気で「オフトン」「オフトン」と発音している。そしてイギリス人にややさげすんだ目で「あなたのはアメリカ英語ですね」と言われる。「おのれ外人め。
勝手に英米で発音に差をつけるな。学校で習ったあの細かい努力は何だったのか。
どちらでもいいものなら、試験に出すな!」と英米人にも日本国にも腹が立ったものである。
だから、LとRとに気をつけて英語を音読するのだ。そうすると英語らしい発音に近づく。辞書に書いてある正しい発音は辞書を引くごとにぼちぼち覚えればいいわけで、それ以外は、LとRとをはっきりさせて、頭ごなしの露骨なローマ字読みで読むのだ。
スペイン、イタリア、インド系の人々は、さらにLとRも全部「るるる」というRの発音で堂々と話し、ネイティブが気を使って理解しようと努力している。それでいいのだ。
ネイティブは生まれながらあまり努力せずにマスターしているのだから、外国人が一生懸命努力して勉強している母国語を、気を使い、気配りしながら一生懸命聞く努力をすべきだ。自国の言語文化をその外国人が広めてくれているのだから。
正しい発音・イントネーションがわからないときは……
正しい発音で話そうとすると、頭のなかが発音のことばかりで、言いたいことを忘れてしまう。だから、正しい発音がわからないときは、変な発音になってもいい。
イントネーションは全部フラットでもいい。能のような、室町時代からのイントネーションで話したっていい。ましてや大阪弁や名古屋弁や博多弁のイントネーショでも素晴らしくいい。アクセントさえ正しかったら、ネイティブは悪戦苦闘(アクセントー)して理解してくれるからいい。日本人はそれでもいいのだと腹を決めて話さないから、フルーエント(流暢に話すための壁が破れないのだ。
単語の発音で最初わからなければ、そのままローマ字読みしてみよう。
ただし、とぎれなく喋ろう。わからなければ、ウー、アーと故・大平元総理の日本語のように言いながら、とぎれなく単語を並べてずーっと話していけばいい。
忘れても何か近いようなことを言い続ければいい。覚えた単語を出そう出そうと思うから、脳の引き出しからでてきて、つながって会話ができるのである。英語は、とぎれなく喋ろうと思わないと、会話として口から出てこないものだ。だから、ウー、アー、と言いながらでも、絶えずのべつまくなく怪しい英語を喋ることだ。
アメリカ英語聞きとりのポイント
英語でも、アメリカやオーストラリアやイギリスの教養ある人の英語はわかりやすいが、そうでないアメリカ、オーストラリア、イギリス人の英語はわからない。
スラングが多くて早口で、その上リエゾンとリダクションで単語と単語がつながってしまうからだ。
しかし、初めの頃は教養ある人同士の会話である國弘正雄さんのテレビ中級英語を聞いていたときも、さっぱりわからないことが多かった。
テレビを見て、その後そのテープを聞いても「アメリカ」とか「スクール」ぐらいしかわからない。それでもずーっと聞いていた。
なんとかつながりがあるはずだ、つながりが・・・・・・と聞いていると、だんだん「テニスコート」とか聞こえてくる。
最初は「アメリカ」、「テニスコート」、「スクール」、それからsheとかheなどが出てくる。
その番組の収録テープを、百回ぐらい聞いたのだ。そうすると、リエゾンとリダクションがあるんだなとわかってくる。もっと聞いていると、 quarrel とかが出てきて、ああ「ケンカ」だなとわかる。
知らない単語もあるのだが、なんとなく、その「彼」が出てきて「学校」が出てきて「テニスコート」が出てきてケンカして、ああ、学校にテニスコートがある。
場所は学校のテニスコートで、彼と彼女がケンカしているとわかる。もう一回聞くと、 resolve 「解決する」とか、 still 「相変わらず」とか言ってる。
あ、まだケンカしているんだな。結果はどうなんだろうか。
解決したか解決しなかったか……。 not が聞こえなかったりして、反対の意味に聞こえる場合もあるのだが、アメリカの学校のテニスコートのあたりで、彼と彼女がケンカをして、和解したのかしないのかわからないけど、なんかそんなことがあったんだろう、などとだんだんわかってくる。こうして聞いている内に意味がつながってくるのだ。
【実践編】重要ポイント④
●わからないときは、何度も聞き返せばいい
●LとRの発音に気をつけよう
●正しい発音やイントネーションがわからなくても、アクセントの位置が正しかったらOK
人が書いたものが、わからないはずはない
ここで、少し英会話の入門の入門から、その会話の中味を豊かにし、入門から上をめざす方向を示しておこう。そこで、英語長文の読解力から話を始めよう。
ところで、英語の長文読解がむずかしくて挫折した人も多いと思う。
この英語長文というシロモノは、就職試験でも、大学入試でも、高校入試でも、専門学校の入試でも必ず出てくる。
大学の定期テストの場合などは授業の内容そのままの問題だからいいのだが、試験となると全く関係ないような応用文なども出てくる。その場合はどうしたらいいか。
まず、英語長文に対する心構えのひとつは、「人間の書いたものだから、絶対わからないはずはない」と、こう思わなければいけない。まずこの念力で、英文に負けるか勝つかが決まる。
「なんとなく長文って不得意だなあ」と思いながらざーっと見ていると、知らない単語をひとつ見つけただけで「うわっ」となってもう負けだ。一瞬ひるんだら、
「早稲田ってむずかしいんじゃないかなあ」
「一橋ってむずかしいんじゃないかなあ」
「えっ、こんなのできるんだろうか」と、気で負ける。
就職試験だったら、「ジャパンタイムズ」などの中から出てくるのだが、「こんなのわかるかなあ」と思ったらくらくらっとくる。お風呂に高血圧の人が入って、なんかふわっとめまいがするような感じ。英文を見ているだけでフラーときて、距離を感じてしまう。
これはつまり、英文思念界から自分が離れているからだ。この思念界を克服するためには、まず英語長文をじーっとにらんで「これは人間が書いたものだ。絶対わからないことはないんだ」と思って、もう一度にらみ返す。すると、文字のほうがへなへなへなっとして、わかるようになるのだ。
就職試験でも、専門学校や大学の入試でも、大学院の入試でも共通するのだが、特に大学入試は、高校生やその年代の人たちが受験するものだということを、試験問題製作者は当然知っている。
だから、あなたが知っているはずのない問題は出ないのだ。利根川進氏の最新の研究論文の、宇宙の彼方についてはどうなっているかとか、微生物の動いている基本的原理は何かなんていう、専門的学術的な文章は出るはずがないのだ。
たいてい、人間というものはああだとか、イギリス人とアメリカ人の違いはどうだとか、ドイツ人は真面目だとか、イギリス人の話なら季節がよく出てくるとか、だいたいそういうような、もっともらしいエッセイが多い。
だから、試験対策には、もっともらしい日本語のエッセイや本や評論文を読解す訓練をしておくといいのだ。それも、高校生にも大学生にもわかりそうな内容が書いてあるのがいい。
宇宙人が書いた通信とか、海軍や陸軍の暗号文などは絶対に出ない。高校生やその年代の人たちが読むと想定して作っている問題だから、極端にむずかしい内容が出るわけはないのだ。
だから意味がわかるはずだと思って、まず読むことだ。すると英語長文の苦手意識をなくすことができる。 read between the lines と言うが、行間の奥が読めてくるようになる。
だからまず、最初の一発目に、「人間の書いたものだから絶対わからないことはないんだ」
英文に喝を入れて読むこと。そう思えば英文の内容がすーっと軽く感じられる。これがポイントであって、英語長文が不得意だという思念界を自分でつくっているから、そこから脱却できないのだ。
むろん、内容読解の正確度は単語、熟語のボキャブラリーの量や、英語の構文を読み解く力に比例する。しかし、日本語でも子供と大人と学者の読解力は違うので、焦らずにぽちぽちと深めることである。
単語を知らなくても文はわかる
ところで、「親はなくても子は育つ」というが、「単語は知らなくても文はわかる」という金言を、私は作った。
といっても、あなたはそうは思えないだろう。あなたは、英単語は英語の基本だと思っているからだ。
たしかに文章は単語によって構成されている。しかし文章とは、いわばレンガを積み重ねた家のようなもので、こことここのレンガの色はわからなくても、家そのものがどんな家なのかは、まわりのレンガの具合でわかる。文章読解でも英語のヒアリングでも、それと同じことが言えるのだ。
例外もある。キーワードがわからないと意味がわからないことがあるのだ。たとえば、少し固い文章なのだが、
Prejudice is the child of ignorance. 「偏見は無知から生ずる」
この英文のprejudice=偏見と、 ignorance=無知、の意味を知らないと「ナントカはカントカの子供である」ということになって、それ以上考えてもムダだ。この場合はprejudiceとignoranceというふたつのキーワードが解けないとわからないわけだ。そういうことを、昭和五十年代の受験界の大ベストセラー「試験に出る英単語』の著者で有名な森一郎さんも書いている。
ただし、今の入試は総体的に易しくなっているので、この本も時代に合わなくなって久しい。だが、そのコンセプトは今でも通用すると言える。
動詞の意味は前後の名詞で判断できる
よく出てくる頻度の高い名詞は覚えておいたほうがいいのだが、それ以外の名詞や動詞は、知らなくても訳せることがある。たとえば、「~を得る」と言うのでも、 getと言えばいいところを、わざわざobtainと言ってみたりする。
日本語で言うときも、ただ「得る」だけでは教養を疑われるから、「~を獲得する」とか、「~を取得する」とか、「~を我がものとする」とか、いろいろな言いまわしをすることはよくある。
英会話で言う場合は、「得る」も「獲得する」も全部 get でいいのだが、日本語と同じように、状況によっていろいろと動詞が変化する。特に、物を書く人間は文章が単調にならないように、動詞に変化をもたせるものだ。しかし、動詞は前後関係でおおよその意味は解る。だから、知らない動詞の使い方で悩むことはない。前後の名詞と名詞を見ていけばだいたい見当がつくのだ。
英語長文を読んで、「あ、これ、知らない単語だなあ」と思った瞬間、汗がにじんでくる。
そのうえに、「ここにも知らない単語がいっぱいあるなあ」となると、全部単語を暗唱したという自信がない人は、読むうちに「あ、これも知らない」「あれも知らない」「これも知らない……」と、単語を知らないという恐怖の世界をつくってしまう。
だからまず、単語を知らない恐怖世界が出てきたときは、これを念力ではね返す。単語を知らなくても文はわかる。親はなくとも子は育つ・・・と。
子供を教育する場合でも、しっかりと教育しなければならないと思っているから、お父さんがひどい人間で、もう離婚しようかと思っていても、子供のことを考えて我慢する人も多い。それは、できればその方がいいのだが、あまりにもひどい場合は「親はなくとも子は育つ」、という有名なことわざに勇気づけられ、母親は明るく離婚にふみきることができる。
だから、私たちも新しくことわざを作ればいい。英文が解らずに困った時は、「単語は知らなくても文はわかる」。そうすると、単語を知らないという恐怖世界がバシバシバシッとつぶれていくのだ。
私が大道学園という神戸の予備校で勉強していた時、そこで教えていた大阪女子大学の英文科のある教授は、すごい人で、ペンギンブックスやペーパーバックスを読むのに、一つのセンテンスで単語を二個見たら中身がわかると言っていた。
逆に言うと、一つのセンテンスで二個わかったら、後は全部知らなくてもだいたい読めるということだ。英文科の教授が言っているのだ。
「一つのセンテンスの中で二個くらいしか単語がわからない文もよくあるんです」と。
それでも教授がつとまるのだ。このように、国立大学の教授でも全ての単語はわからないのだから、あなたも安心していいのだ。
イメージの連続性で理解する
さらに、イメージの連続性で文章を理解する方法がある。
これも前述したが、たとえば文章でhe, play~そしてtennis, gardenなどと書いてあって、あとは全部単語を知らなくても、彼、~する、テニス、庭、それだけでも、「なにかどこかでテニスしているようだからクラブ活動かな、彼女と会ったのか、どうなのかなあ。
sheが出て、あ、やっぱり女性が出てくるな・・・・・・」とドラマを作ったらいいわけだ。なんとなくそうなんじゃないかなあ・・・・・・」と思いながら見ていると、 notと yesがあって、肯定と否定で「ある」を「ない」と修正したりするのだが。
彼が出てきたり、テニスが出てきたり、庭があったりすると、クラブ活動をしてるのかなあと思う。場所はテニス場か、どこかのスクールかもしれない。そしてさらにテキストブックというような内容が出てきたら、「男の人が何かテニス場のようなところにいて、クラブ活動かなあ。それとも体育の時間かな。本があったりしたんだな」というようなことがイメージで彷彿としてくる。
動詞などはどうでもいいのだ。なんとなくそうじゃないかなあ…と思ってセンテンスを読めば、すーっと全体が理解できる。
そういうふうなイメージができてきて、文字が後からぱっぱっぱっぱっとついていくのが読解している状態なのだ。
だから文字を一個ずつ追いながら、文字がこうなってああなって、ということにこだわり、イメージの連続ができない人は、英語の読解力は伸びない。
活字と単語を見て一つひとつの意味だけを先に追い求めていくのでは、非常に読解の速度が遅い。
しかし、こういうイメージで全体をつかむ読み方なら、速読ができる。大学入試でたとえるならば、特にICU(国際基督教大学)と上智は試験の英文の量が多い。
ICUの場合、特にむずかしい単語が出てきたら、高校のテキストに出ている単語に置き換えをしている。やさしい英単語に言い換えをして、制限時間を短くしているのは、「実力=スピード」とICUでは考えているからだ。こういう場合は、とにかく英文の量が多いから、イメージをつかみやすくしてから速読するのがコツである。
上智、青山、立教もそうだが、配点が多いわりに、時間が短くて大変な量が出る。
ICUだけでなく、スピーディーに読めることはそれだけ実力があることだと考えている。だから、圧倒的に早く読むためには、語意だけを追っていても理解できないので、少々の単語は飛ばしながらでも、イメージの連続性で内容の理解の的中率を高くしていけば、英語は早く読めるし、そのうえ正確に読めるようにもなってくる。
入門者のあなたには、少々内容が高度だったかも知れないが、入門者はそもそも知っている単語が少ないのだから、長めの文章の中に、知らない単語がたくさんあってもしかたない。
だが、そんな場合でも、すぐにあきらめないで、イメージを連続させて英文に勝つ気迫を持ち、最後まで読み通してほしい。
【実践編】重要ポイント⑤
●イメージの連続性で理解する
●単語がわからなくても文はわかる
●人間が書いたものが、わからないはずはない
